難聴学級のこと

長女は小学校1年生の間、特別支援学級の難聴学級に通った。
備忘録としてこの1年間のことを書いておこうと思う。

入学前に行ったことは、2月末に教頭先生とコーディネーターの先生(たまたま難聴学級の担任の先生だった)との面談。
聴力は両耳とも75db程度で補聴器をしてもささやき声は聞き取れないこと。
難聴と分かったのが遅く、言葉の遅れがあったり発音が不明瞭であること。
できる限り通常の学級で授業を受けさせて欲しいこと。
ロジャーマイク(事前に教育委員会に申請して、市の備品として購入してもらっった)の使用を徹底して欲しいこと。
などを紙にまとめ、聴覚支援学校で作成いただいた合理的配慮の書類と共に提出した。

4月に入り、入学式の前日に通常学級の担任の先生と、娘も交えて面談。
主にロジャーマイクの使い方を伝えた。
入学式での呼名は、最後ではなく途中に入れてもらうことができた。難聴学級の担任の先生には申し訳ない気がしたが、通常学級の担任の先生に、他の生徒と同じように呼んでもらった。入学式のあと、教室で保護者の方にも簡単に自己紹介。娘の他にも配慮が必要な子が数人いた。1クラス34名で、結構な騒音が予想された。

さあ、いよいよ授業スタート!
国語・算数・自立活動を難聴学級で受け、その他は通常学級へ。
3年生でもう一人難聴の子がいて、難聴学級の先生は通常学級ではついてもらえないことも。それでもロジャーマイクを使用してもらうことで、大きな問題はなく過ごしているようだった。

自立活動では主に発音の練習、国語と算数は教科書通り進めるが、1対1のため進み過ぎてしまい、通常学級の進度とズレが生じ、たまには通常学級で国語と算数も、というわけにはいかなかった。国語は一日2時間という日も多く、1日の半分を難聴学級で過ごしていた。宿題は通常学級の子より多く、作文や算数の文章題など難しい内容のものを出してもらい、何だか特進クラスのようだった。

6月、2年生ではどちらに在籍するかを夏までに決めないといけないと言われる。
入学してやっと少し慣れたところで、もう来年度の話!?
難聴学級に在籍はするが、自立活動以外は全て通常学級で受けたいと希望したが、文科省&学校の方針で半分程度は支援学級で受けないといけないとのこと(この考え方は古く、現在は難聴学級においてはほとんどを通常学級で受けている子が多いそう)。ただ来年度通常学級にするのであれば、慣らしていくために1年生のうちから通常学級での授業を増やせるという。

娘に「あおぞら学級と1組どっちが楽しい?」と聞いてみると、
「どっちも!!」と娘。
「どっちかって言われたら、どっち?」「うーん、1組!」
多少聞き取りにくくて困ることもあるようだが、お友達と一緒がいい!という感じだった。学力面でもまあ問題なさそうだったので、2年生では通常学級に通うことに決めた。それに伴い7月から算数も通常学級で受けられることになった。

難聴学級の担任の先生は、3年目ということもあって難聴への理解がとてもある方だった。発音の指導を熱心にしてくださり、娘の頑張りもあってカ行やサ行の発音も上手に言えるようになった。
毎日の音読練習で、はっきりゆっくり言うことも意識してできるようになった。
語彙は日々の宿題や読書を通して、自身でどんどん増やしているように見えた。
これから新しい漢字を覚えていくことで、言葉もどんどん広がっていくと感じた。

2学期に入るともうすっかり学校生活に慣れ、あおぞらと1組を行ったり来たり(隣の隣という近さ)しながら、お友達とも仲良く遊んで充実の毎日。
一方で「いつかは難聴治したいなあ」「どうして私だけ難聴なの?」と聞いてくることもあって、他の子と比べたり、まあいっかと受け入れようとしたり、小さい頭で色々考えているようだった。
通常学級ではグループワーク時に友達が話していることが聞き取れなかったり、一度ジャンケンで勝ってリーダーに決まったはずなのに、いつの間にかもう一度ジャンケンをしていてその理由がわからなくてトラブルになったりということもあった。
何かある度に難聴学級の先生と相談して解決策を一緒に考えてもらえたことはとてもありがたかった。

年が明け、1年間のまとめが順調に進む。
国語の授業も通常学級で受けることが増えたが、問題なくできている様子。
発音も概ねOKとなり、自立活動の時間にはタブレットを使って「トリセツ」を作ることに。
自分は難聴であること、どうしてくれると助かるか、ロジャーマイクの使い方などをわかりやすくまとめて、来年度以降に活用できるようにとのこと。
同時に自分自身の障害理解にもつながっていく。
このような時間を通常学級でとってもらうことはできないので、来年度に向けての準備がしっかりできたのはとても良かった。

初めから通常学級にした方が良かったのかもと思ったこともあったけれど、結果的には難聴学級で1年間過ごして本当に良かったと思う。難聴学級がどういうものか実際に入ってみないとわからないし、両方の良さを知った上で娘がどちらが良いか自分で選べたことも大きい。通常学級に在籍しても合理的配慮は継続されるし、疲れた時はあおぞらの教室に来ていいからねと言ってもらえたことも嬉しかった。(本人はあまり疲れなさそうだけど笑)

こずちゃん、1年間よくがんばったね!
毎日にこにこ楽しく通ってくれてありがとう。2年生も楽しみだね!!